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読むのが苦手かもしれない 子どもとまずできることは何か?

更新日:2022年6月8日

書かれているものを見て「読める」というその状態は、一口に言っても様々な段階があります。


文字を見て、正しく発音ができる

単語を見て、その単語の意味が理解できる

文章を読んで、そこに書かれている内容を理解できる


どれもが、「読める」という状態を表しています。




子どもの発達を見守る過程で、きっと最初は「文字が読めるようになってほしい」という願いから出発すると思います。そしてある程度「文字が読める」ようになってくると、「文章を読んで、内容を理解してほしい」へと変化していくのではないでしょうか。


まず「文字」を読むために確認したいこと


読みのスキルは、単音⇒単語⇒単文の順番に習得がなされます。

「文章を読んで内容が理解できる」という段階に到達するために、一つひとつの「文字」が読めるという最初のステップを飛ばして先に進むことはできません。


では、まず文字を読むことができるようにするには何をしたらよいのでしょうか。


最初は、文字に対する興味や関心を子ども自身が抱いているかどうかを確認することから始まります。


文字に興味をもつきっかけやタイミングは、子どもによって異なります。

お友だちが手紙をくれたことがきっかけで「文字」に興味を持ち始めたり、大好きなアニメのマンガが読みたくて「文字」に興味を持ち始めたり、小学校に入学することを自覚したとたんに「文字」に興味を持ち始めたりと、いろいろなケースを見聞きします。


しかし、読むことに苦手さがあるお子さんの場合、なかなか文字に興味が持てないこともあります。絵本を開いていても、絵を見ているだけだったり、文字が書かれていても、それに注目するような様子があまりみられないということもあります。


文字への興味や関心が感じられない時は?


それでは、文字への興味や関心が感じられない時は、どうしたら良いのでしょうか。

大人としては、すぐにでも「文字」とつなげたいところですが、まずは「ことば」に触れる機会を意識して設けてあげられるとよいと思います。


自分が知っていることばと、それを表す文字とが結びつくことで「文字が読める」ようになっていくことがあります。そのことを考えると、聞いてわかることばを増やしておいてあげたいなと思うのです。


日頃自分が話している「ことば」が、実は「文字」で表すことができると気づいた途端に「文字」に興味を持ち始めたというケースが実際にあります。


講師が、子どもが話している「ことば」を「文字」にして見せたところ驚いた表情をし、「これは、どう書くの?」と興味を示したのです。その後、子どもが自ら「ことば」を発しそれを「文字」にするという活動を続けていきました。しばらく経つと、お子さんがその講師にお手紙を書いてくれるまでになりました。





聞いてわかることばは、大好きなアニメのキャラクターでもいいし、大好きな鉄道の駅名でもかまいません。子どもが大好きな絵本を読み聞かせすることも、ことばに触れることになります。


知っている「ことば」から楽しく徐々に


そして、いよいよ文字に触れるというときには、一つだけ気を付けたいことがあります。それは、「文字に触れる場面が苦痛にならないようにすることです。「文字」を読む場面が「苦しい」と「苦手意識」につながり、ますます「文字」から遠のいてしまいます。

それでは、本末転倒です。


「苦しくても、読ませなければ、読めるようにならないじゃないか」と思う方もいらっしゃると思います。その通りです。「文字が読める」ようになるためには、「文字を読む」ことが必要です。


ただ、読めない文字ばかりを読まされて、叱られてばかりいたらどうでしょう。

想像してみてください。意味もわからない読み方も知らない外国語の単語50個を正しく読むように言われ、少しでも間違えると叱られるとしたら、読み続けることができるでしょうか。


「ことば」を知っていると「読める」に近づいていくことができます。

「か」の文字を「かめ」と結び付けて、「かめの『か』」と覚えていくことができるかもしれません。



「読める」は1ステップずつ


「読める」には様々な段階があると、最初に書きました。

実は、文字が読めるようになったからと言って、自動的に文章が読めるようになるわけではありません。文字を必死に読んでいる段階では、読んでいる内容を覚えておいたり、読みながら意味を考えたりすることができないからです。


学校のテストで問題を読まずに答えを書いて間違えてしまう

これは、まだ「文字を読む」ところに負担感があるお子さんによく見られる姿です。テストなので、早く問題を解かないと時間切れになってしまう。だから、負荷のかかる「読み」を省いて、問題に取り掛かってしまうのです。


「文字の読み」が自動化されることで、頭に余裕ができます。いちいち、読み方を思い出す必要がないので、読みながら意味を考えたり、読んだ内容を覚えておいてストーリーを追っていったりすることができるのです。


読めるようになってほしいと願うとき、まずは、目の前のお子さんを観察してみてください。必ず、そこにヒントが隠れています。


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「ひらがな読み書き教室」では、保護者の方の個別相談を受付けています。お子さんの学習の様子や、読む・書くといったことの習得に関して不安を感じている方は、まずはぜひご相談ください。



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